鉱石ラジオのキット | 11:49 |
ー銀河通信社では鉱石ラジオのキットもいくつか作られていますね?
「いろんな人から手頃な鉱石ラジオのキットがないかと言われていて、それに対応するために「銀河通信事業」という名前で以前から密かに続けている一種のライフワークがあるんですが、その流れの一旦として連絡があった人にだけ「ゲルマニュームダイオードセット」を分けていたんです。
例えば不思議なことや工作が好きだったりしても、実際の日常でそういう機会に巡り会えないでいる人にとって、「銀河通信社」がいつかは出会えるっといった存在であればいいなと考えて、随分前から始めていたんです。
鉱石ラジオのキットは関しては、1998年に大阪で鉱石ラジオのワークショップをすることになり、急遽キットを30セットほど手作りで揃えました。それ以降、「銀河一型」「銀河二型」「銀河三型」「彗星一型」「彗星二型」と続いていますね。」
大阪でのワークショップの様子
鉱石ラジオキット[銀河一型]
鉱石ラジオキット[銀河二型]
鉱石ラジオキット[銀河三型]
ーワークショップには結構な数の人たちが集まって、みんな楽しそうに鉱石ラジオを作っていますね。
「ラジオの同調の役目をするコイルとなる紙の筒にエナメル線を巻くだけでも、スイスイできる人もいればなかなか出来ない人もいるけど、2-3時間あればそれなりに仕上がっていくところは、見ていても個性やクセが出ていて面白いよね。
キットのパーツを作るにしても、キットによってはプラスチックではなくて昔のアンティーク・ラジオに付いているのと同じベークライトで発注したりするから、どうしても数が限られてきちゃいます。今の時代では、例えば昔風のツマミなんてほとんど他の機器には使われないし、鉱石ラジオのキット用に発注しなければならないから、どこにも在庫があまりなくて欲しい数ぶん揃え流のがやっとですね。
「銀河一型」はただ四角い箱じゃ面白くないと思って傾斜箱にしたし、キット自体もほとんど手作りだから、かなり手がかかるんですよ。」
[銀河一型]の説明書の一部
各種キットの説明書は小林健二による手書き原稿が元になっています。
ーなんだか懐かしい感じのデザインですね。このキットはまだ手に入るんですか?
「製作したぶんは全部売れてしまって、いま増産を考えています。他には今度、新しいキットを作ったんです。これもベークライトの板を発注して一つ一つ穴を開けたんですけどね。作ってくれる人のために、小さな紙ヤスリやニス、小さなドライバーや接着剤もセットしたり、自分たちで印刷したものを貼り付けたりね。
採算というよりもほとんど洒落みたいなものですよ(笑)。パーツの関係で今回も300台しかキットができないしね。
例えばぼくがこんな鉱石ラジオを作ったってことを話していても、それを聞いてる人の中には自分自身で体験して見たいって思う人だっていると思う。そういう人たてみんなが、ぼくのところみたいに工具も機材も揃っているわけではないから、キットだけで作れるようにしなきゃと思って、いろいろ考えて工夫してますね。そして何かを作る喜びみたいなものをこのキットを通して感じてもらえると、嬉しいです。」
「」内は小林健二談。
*メディア掲載記事より内容は引用しています。